
更年期に入ってから20キロ近く太りました。
運動や食事制限などのダイエットを始めてかなり経ちますが、体重は増える一方で一向に痩せる気配がありません。
体重のせいか股関節も痛くなり、ポッコリお腹もひどく、本当に悩んでいます。いいダイエット方法はありませんか?
A:無理な制限より、ホルモンバランスと代謝に寄り添うアプローチを
結論から申し上げますと、更年期における体重増加には「女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下」が深く関係しており、食事制限などの一般的なダイエットでは成果が出にくいことが多いです。
更年期太りの主な要因は「ホルモンの変化」と「基礎代謝の低下」
まず最初にお伝えしたいのは、更年期太りは単なる“食べすぎ・運動不足”ではないということです。
以下のように、更年期の体重増加には、ホルモンバランスの急激な変化と、それに伴う代謝の低下や筋肉量の減少が関係しています。
女性ホルモン (エストロゲン) の減少 | → | 脂肪のつき方が変化し、 内臓脂肪がつきやすくなる |
基礎代謝の低下 | → | 同じ生活でも エネルギー消費量が減少 |
つまり、ホルモンバランスと代謝を整えることが、最も重要なアプローチになります。
無理な食事制限やハードな運動では逆効果になることも
更年期の体はとてもデリケートです。
糖質カット・断食などの極端な食事制限をすると筋肉量が減って代謝がさらに落ち、今以上に「やせにくく太りやすい体」になってしまうことも。
股関節に痛みもあるとのことですので、無理な負荷がかかる運動も推奨しません。
更年期ダイエットの3つのポイント
◆食事は「制限」ではなく「バランスを取る」ことを意識
「ダイエット=食事制限」と思われがちですが、更年期の体には過度な制限は逆効果になることも。
例えば糖質制限などが代表的な方法として挙げられますが、糖質は私たちの大切なエネルギー源です。極端に減らすと、更年期の疲労感やイライラを増長させてしまいます。
大切なのは、「落ちた基礎代謝のなかで消費できる範囲で糖質をとり、不足した女性ホルモンを補う栄養素を意識して摂ること」です。
中でもおすすめは大豆製品。大豆に含まれる「イソフラボン」は、体内で「エクオール」という女性ホルモンに似た成分に変わることで、ホルモンバランスのサポートが期待できます。
ただし、エクオールを体内で作れる体質の日本人女性は約50%ほど。食事を切り替えても変化が感じられない場合は、エクオールのサプリメントを取り入れてみましょう。
さらに、タンパク質の分解に欠かせないのが鉄分やビタミンB群。これらも不足しやすいため、食事だけで補いきれない場合はサプリメントなども活用して、無理なくバランスを整えていきましょう。
◆体への負担は減らしつつ、筋肉量を維持する
更年期は関節の痛みや筋力の低下も症状として起こりやすく、無理な運動がかえって体を痛めてしまうことも。とはいえ、代謝が落ちる更年期世代は筋肉量を減らさないための取り組みが必要です。
たとえば、水中ウォーキングは関節への負担が少ないにもかかわらず、水圧によって高い運動強度が得られる理想的なメニュー。筋力アップ・心肺機能の向上・脂肪燃焼への効果が期待できる有酸素運動で、関節に痛みがあっても取り入れやすくおすすめですよ。
また、インナーマッスルを鍛えられるヨガやピラティスは、深い呼吸を取り入れながら行うため、自律神経の安定にも効果的。特にヨガはリラックス効果も高く、更年期のイライラを抑えるストレスケアとしても優秀です。
ただし、既に股関節に痛みがあるとのことですので、無理をせず整形外科を受診することも大切です。必要に応じて、専門のリハビリや運動指導を受けましょう。
◆ストレスマネジメントを意識する
更年期はホルモン変動だけでなく、環境変化や心理的ストレスも重なる時期。ストレスが増すと食欲が乱れたり睡眠が浅くなったりして代謝が落ち、結果的にダイエットが難しくなります。
だからこそ、食事と運動だけではなく、心のケアも並行して行うと効果的です。
ストレスをケアして自律神経が整うことで食欲や睡眠も安定し、代謝アップにつながります。アロマや音楽、深い呼吸などでリラックスする時間を意識的にとりましょう。
医師の診察やHRT(ホルモン補充療法)も検討を
体重が短期間で急増している、股関節の痛みが日常生活に支障をきたしているなど、症状が強い場合は婦人科や整形外科での診察を早めに受けていただくことをおすすめします。
場合によっては、HRT(ホルモン補充療法)や漢方治療が効果を発揮することもありますので、一度相談してみるとよいでしょう。
編集部からひと言
更年期太りは、“頑張っていないから”ではなく、“体が変わったから”起きている自然な現象。この時期のダイエットは、若い頃の方法とはまったく違った視点が必要です。
ホルモン、代謝、ストレスといった根本から整えることで、少しずつでも確かな変化が訪れます。
焦らず、ご自身の体にやさしく寄り添いながら、小さなステップを積み重ねていってくださいね。
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