
更年期に入って、肩こり・頭痛・目疲れ・ふらつき・不眠・動悸・イライラ・鬱、胃痛に重度の倦怠感など、本当にたくさんの症状に悩まされています。
仕事に行くのも家事をするのもとにかくツラく、できることなら動きたくないです。
けれど、姉に「それでも動いていた方がいい」と言われて戸惑っています。動かないと悪化するのでしょうか?
できれば何もせずに休んでいたいと思ってしまうのですが、これは甘えでしょうか。
A:無理は禁物ですが、「少しでも動くこと」が心と体の回復に役立ちます。
更年期が辛く動きたくないと思うのは、決して甘えではありません。ホルモンバランスの急激な変化による、身体の自然な反応です。
しかし、「ツラさの中でもできる範囲でからだを動かした方が回復の助けになる」のは確かです。
例えば、「中年女性の座りがちな生活習慣は、更年期障害の症状や肥満と関連している」とする研究結果もあります。
参照:Sedentary lifestyle in middle-aged women is associated with severe menopausal symptoms and obesity
身体がツラく気分が沈み込みやすい更年期に活動することは困難かもしれません。無理に「動かなければいけない」と思うとよりツラくなってしまいますので、頑張らずにできる範囲のことから実践してみましょう。
「頑張らなくてもできる」ことから始めよう
更年期におすすめなのは、「やる気がなくてもできる運動」や「頑張らなくても続けられる運動」です。例えば、以下のようなことを少しずつ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 朝、カーテンを開けて深呼吸する
- 仕事中、1時間おきにトイレに立って伸びをする
- 椅子に座っているときは、ときどき首や足首を回す
- テレビを見ながらゆるくストレッチをする
こうした動きは血行を促進し、自律神経のバランスを整えてくれます。
少しずつ体が動かせるようになってきたら、以下のようなことも取り入れるとより効果的です。
- 近場への移動は歩く
- 近所を10分だけ散歩してみる
- ヨガやピラティスでゆったり体をほぐす
- 興味のある習い事に挑戦してみる
日中に活動をすることで夜中の覚醒が少なくなり、朝のルーティンを作ってあげると体のリズムが整います。睡眠の質向上や体のリズムを整えることは、ツラさの軽減につながります。
いきなり「運動習慣をつけよう」などと意気込まず、「気が向いたもの」「頑張らなくてもできそうなこと」から始めてみましょう。
更年期に「動かない」選択をするリスク
日常的な活動を完全に断ってしまうと、「気分の落ち込みや不安が強まりやすくなる」「身体の回復力や代謝が低下しやすくなる」リスクがあります。
実際に、更年期女性を対象にした2年間の追跡調査で、「日常的にウォーキングやヨガなどの軽度な身体活動をしていた群」は、「活動をしていなかった群」に比べて更年期症状が軽減し、生活の質(QOL)が高く保たれたことが示されています。
参考:「Physical Activity, Menopause, and Quality of Life: The Role of Affect and Self-Worth across Time」
休養が必要なときは無理をするべきではありませんが、「完全な静養」が長引くことでむしろ心身のバランスが崩れ、回復が遅れる可能性もあるのです。
どうしても動けない日は?
更年期は、「頑張ること」がストレスになりがちな時期です。どうしても動けない日は、じっとしていることも立派なケア。無理に動こうとせず、動けない自分を責めないことが何よりも大切です。
また、1人ではツラくても、誰かの存在や環境の力を借りることで心身がほぐれることも。誰かと一緒に動く・お気に入りの音楽で気分を上げる・自然と触れ合って気持ちを落ち着けるなどが効果的です。
仲間がいると孤独感が軽減されて前向きになり、1人では難しい運動も無理なく習慣化できますよ。これを機に、周囲に相談して協力してもらうのもよいでしょう。
それでもツラくて動けない状態が続くなら、婦人科や精神科を受診することも選択肢の1つ。適切な治療は、回復に向けた大きな一歩です。「病院なんて大げさだ」と考えず、気軽に相談してみてください。
編集部からひと言
更年期は、「前と同じように頑張れない自分」に戸惑う時期ですよね。でも、それは心や体が発している大切なサイン。無理せず、あなたのペースでゆっくりと動いてみましょう。
動くことは心と体のリズムを整えることに繋がります。とはいえ、それができる日、できない日があるのは当然のこと。
「頑張って動こう」という気持ちと同じくらい、「自分を許して休んであげること」も大切にしてあげましょう。
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